陳発科と陳式心意混元太極拳

馮志強老師によれば、陳式心意混元太極拳は自分が創ったと言われていますが、これは自分が創ったものでは無いと言われました。これには実際私は腰を抜かす程驚きました。北京陳式の間でも陳式心意混元太極拳は陳式太極拳というより楊式太極拳に近いという話が漏れ聞こえてきていました。陳発科は陳式太極拳はより高い次元に入ると混元(球の動き、回転運動)の動きになるとの事で、晩年は動きが益々丸くなっていったとの事です。この陳式太極拳を陳発科老師は都合7回変えたとの事です。その具体的変遷も馮老師は見せて下さいました。7回の内4回は陳発科老師が自分だけで変え、残りの3回は胡耀貞老師と相談、研究の上3年かけて変えたとの事です。従い、この7回の変更が現在の陳式心意混元太極拳の基礎となるものです。更に、発科老師は一つ、一つの動きに混元の動きを加味していくよう馮老師に指示をされた由。この指示に基づき馮老師は更に7回変更を加え、現在の形になっているのです。言い換えれば、陳家伝来の物をベースに陳発科と胡耀貞が研究の成果を反映して出来たものが陳式心意混元太極拳と言えるでしょう。しかもその大半は陳発科老師が自ら変えたものです。例えば金剛捣碓は立円になっていますが、これも陳発科老師が気の流れを鑑み変えたものだそうです。しかも現在の形に至るまで2回の変遷を経たとその変遷を馮老師は示されました。私の理解では丹田の混元の動きと纏糸の勁をうまく組み合わせて、それに意念の開合も加えた陳式のエッセンスを贅沢に盛り込んだ套路と言えるでしょう。

ここで疑問になるのは馮老師自身が80年代初めまで混元太極拳をやっていなかったとの証言が師兄弟からありますが、御自身は練習されていたが、世に出す時期ではなかったのと、教える生徒の水準の問題もあるとの事でした。今は基本的に初心者から混元太極拳を教えていますが、人によっては簡単な動作から教えておられるようです。

もう一つの疑問は馮老師の師兄弟が混元太極拳を練習していない事です。これは陳発科老師がこの太極拳を皆に伝えた訳ではないとの説明でした。ある弟子には変更した全てでは無く一部だけ伝えたとも言われていました。

従い、混元太極拳は馮老師の尊敬する陳発科老師と胡耀貞老師のお二人がその基礎を創られ、馮老師が両氏の指示に基づき、その延長線上に発展させた太極拳と言えるでしょう。
ある時馮老師が旧来の一路を練習していると陳発科老師が馮老師に後戻りする必要は無いと言われたとの事です。又陳発科老師はこの拳を上乗の太極拳と言われていたそうです。もちろん他の太極拳は他の太極拳で独自の良さがあり、自分のみを良しとする事が無いよういつも馮老師が戒められていた事なので誤解なきよう。

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